ハブクラゲ
外観
傘径は10〜14cm程度、触手を伸ばすと約1.5mにも及び、4本の腕に7本の触手が付いている。
疫学
クラゲは、海水浴エリア、特に波が弱い入江やビーチに多く出現する。いくつかのクラゲ刺傷の症例が報告されているが、最近では、日本におけるクラゲ刺傷の臨床的特徴が包括的に報告された。ハワイのある救急科では、年間約20件のクラゲ刺傷が発生しており、日本の年間発生数は、フロリダとオーストラリア東部の年間約10万件に比べて比較的少ない。
毒物活性と臨床症状
ハブクラゲ毒は、溶血性と神経毒性があり、皮膚の壊死と低血圧を引き起こす。
診断
明確な診断基準はない。診断は、患者本人から申告されたクラゲの情報や既往歴に基づく。また、重症の場合は全身毒性をもたらし、イルカンジ症候群やアナフィラキシーを引き起こす可能性があり、ほとんどの場合入院が必要となる。
治療
皮膚に残っている触手に酢を塗ると、未発射の刺胞が不活性化する可能性があり、触手を取り除くことができる。心停止と心原性ショックの場合、抗毒素投与の適応となり、早期投与は毒を中和する可能性がある。
予防
ハブクラゲは半透明で水面から見えにくいため危険である。海水浴はクラゲ防止ネットで保護されたエリア内を推奨する。
参考文献
Hifumi T, et al. SN Comprehensive Clinical Medicine (2020) 2:2288–2292