AMED 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業
抗毒素製剤に関する総合的な対策に資する研究[阿戸班]

その他の有毒海洋生物

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カツオノエボシ

カツオノエボシ

外観

綺麗な青色。「青い瓶」とも呼ばれ、青みがかった白色の浮き袋があり、そこから触手が伸びて10〜20mの長さになる。触手に感電のような強い感覚を誘発する刺胞が多く含まれていることから、「電気クラゲ」とも呼ばれる。

疫学

2013年にブラジル南東部で発生例が報告された。
さらに、2018年には日本の由比ヶ浜海水浴場で大規模な発生が起きた。

毒物活性と臨床症状

カツオノエボシの毒は、溶血、腫れ、壊死を引き起こし致命傷となる可能性がある。また、刺された直後に極度の痛みが発生する。触手に接触した皮膚周辺は、線状の丘疹性発疹が現れ腫れる。

診断

明確な診断基準はない。診断は、患者本人から申告された情報や既往歴に基づく。

治療

海水で触手を洗い流す。洗い流せない場合は指先でそっと外す。
また、刺された部位の炎症がひどい場合は、強力なステロイド外用薬を使用すること。

予防

クラゲの存在を警告されたときは海に入らないこと。海水浴はクラゲ対策ネットで保護されたエリアを推奨する。
肌の露出は可能な限り最小限に抑えること。

アンボイナガイ

アンボイナガイ

外観

アンボイナガイの殻は10〜13 cmの大きさに成長する。
深紅色で、雲状斑が綺麗に散らばっている。

疫学

1991年以前に、沖縄で18例が報告された。うち13例はアンボイナガイ由来の毒によるもので、そのうち4例は致命傷であった。また別の報告によると、43例のうち15(35%)が致命傷であった。

毒物活性と臨床症状

アンボイナガイは、人間に知られている最も危険な種である。コノトキシンは、神経筋への伝達を阻害する受容体とチャネルを標的とする。それにより、けが、めまい、複視、口のしびれなどの症状が現れることがある。重症の場合、換気補助が必要になる場合がある。

診断

明確な診断基準はない。診断は、患者本人から申告された情報や既往歴に基づく。

治療

重症の場合、人工呼吸が必要になることがある。アンボイナガイ刺傷の抗毒素はないため、毒素が不活性になるまで治療が必要である。

予防

不用意に貝殻を拾わないこと。

ヒョウモンダコ

ヒョウモンダコ

外観

長さ約10cmの小さなタコ。皮膚は黄色で、青い円が点在する。

疫学

ヒョウモンダコは、一般的に、オーストラリアと日本の北太平洋にかけて、潮間帯の岩の多い海岸や沿岸海域で最もよく見られる。

毒物活性と臨床症状

ヒョウモンダコの毒にはテトロドトキシンが含まれており、呼吸筋麻痺を引き起こす可能性がある。

治療

標準的な医療を提供する必要がある。重症の場合、人工呼吸が必要になることがある。

予防

潮干狩りなど大きな岩が転倒した際に見つかることがあるため素手で触れないこと。

参考文献
Hifumi T, et al. SN Comprehensive Clinical Medicine (2020) 2:2288–2292