オニダルマオコゼ
外観
全長は約40cmで、海底の岩などの環境に溶け込んでおり、見分けるのが困難である。棘は強靭であり、靴のゴム底やウェットスーツを貫通する。
疫学
オニダルマオコゼ刺傷は、救急外来でよく見られるが、主に、米国、オーストラリア、マレーシア、香港、シンガポールを含むインド太平洋地域の沿岸海域で見られる。オニダルマオコゼ毒に関する日本の研究はほとんど報告されていないが、最近5年間で15例が報告され、過去には2例の死亡例があった。
毒物活性と臨床症状
死亡例は沖縄県から報告されているが、地域によっては食用であるため、料理人などが受傷する可能性がある。
また、オニダルマオコゼ毒はヒアルロニダーゼ活性を有し、溶血、血圧低下、神経麻痺を引き起こす。
診断
明確な診断基準はない。診断は、患者本人から申告された情報や既往歴に基づく。
治療
オニダルマオコゼに限らず、オコゼ刺傷は救急外来ではよく見られる傷病であり、患部を約43°Cに温めると疼痛緩和が得られる。
また、抗毒素が使用可能であり、これはオニダルマオコゼ毒に対するウマIgG抗体のF(ab)2フラグメントを精製したものである。香港で実施された研究では、患者の25%が抗毒素による治療を受けた。
予防
棘防止のため、厚いゴム底の履物を使用すること。
参考文献
Hifumi T, et al. SN Comprehensive Clinical Medicine (2020) 2:2288–2292