AMED 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業
抗毒素製剤に関する総合的な対策に資する研究[阿戸班]

毒グモ

disease spider

毒グモ咬傷

 セアカゴケグモ咬傷の臨床症状 は,激烈な疼痛と発汗,腹痛などの全身症状である 。Isbisterらは,通常の疼痛管理で症状の改善しないセアカゴケグモ咬傷患者を対象に生理食塩水を対照薬としてRCTを施行し,疼痛の改善率は有意な改善を認めず(23% vs. 34%,P = 0.10),また全身症状の改善も認めなかった (22% vs. 26%,P=0.79) 。しかしながら,Isbisterが 本研究で強調したのは,さらなる疼痛や全身症状の緩和のための対応策が必要であることであった。2016年には福岡でのセアカゴケグモ咬傷患者に対して,麻薬やステロイドを投与したが全く効果がなく,最終的にセアカゴケグモ抗毒素が投与され著効した症例を経験している。 またゴケグモ咬傷(ジュウサンボシゴケグモ咬傷、ハイイロゴケグモ咬傷、クロゴケグモ咬傷)患者においてもセアカゴケグモ抗毒素を投与することによって、他の薬剤では緩和できない疼痛が緩和され、自律神経症状の改善が見込まれている。