近年、Clostridium 属による四肢にガスを伴った筋肉の壊死を伴う古典的ないわゆるガス壊疽の頻度は低下しました。その一方で、非 Clostridium 属によるガス壊疽の頻度は、高齢化や糖尿病などの併存症との関連で増加しています。そのため、主に Clostridiumperfringens(C. perfringens Type A, C. septicum,C. oedematiens)に対して製造された外傷性創傷感染症のガス壊疽治療に対する使用の頻度は低下しています。
古典的ガス壊疽とは異なり、内因性のC. perfringensによる肝膿瘍などの敗血症が増加しています。これは、C. perfringensによるα毒素によって血管内溶血と重症貧血、DIC、多臓器障害を急激に呈して死に至ります。van Bunderenらは、このC. perfringens敗血症による血管内溶血を来して数時間で死に至る症例を集積して報告し、その死亡率は80%を超えると報告しています。抗菌薬投与と感染巣のドレナージは治療の大原則ではありますが、それに加えてC. perfringensに対するガス壊疽抗毒素の投与がその病態から検討され始めています。現在のところ、確立されたエビデンスはありません。