毒蛇
disease snake毒蛇咬傷
日本における毒蛇咬傷は、ハブ類種(ハブ、ヒメハブ、サキシマハブ、トカラハブ)と二ホンマムシによるものであるが、被害が大きく、問題となるのは最も大型のハブとニホンマムシによるもので、毒蛇咬傷といえばこの種類に対しての治療が中心であった。現在では輸入されて逃げ出して住み着いてしまったタイワンハブと昔は無毒ヘビと思われていたヤマカガシ(ニホンヤマカガシ)による咬傷も問題となっている。さらに、年にニホンマムシとは別種とされた長崎県対馬島のツシママムシ咬傷も加わることとなった。毒蛇咬傷治療と切り離せないのが抗毒素血清であり、治療の変遷は抗毒素使用の移り変わりでもあるが、もう1つ切り離せないものがセファランチンである。図1図2
毒性の強い毒蛇咬傷では、血清療法が主体となるが、投与までの時間と投与方法が非常に重要である。また、ヘビによって毒の成分が異なるため、注入された部位や毒量によって異なった病態を引き起こすことや多くの毒蛇咬傷で出血傾向や急性腎不全を起こすが、発症のメカニズムは毒蛇によって異なるため、毒の作用を明らかにすることが適切な治療を行うためには非常に重要である。
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参考資料
小林照幸「毒蛇」文春文庫2000年
Hifumi T, Sakai A, Kondo Y, et al: Venomous snake bites: clinical diagnosis and treatment. J Intensive Care 3:16, 2015, DOI 10.1186/s40560-015-0081-8